ここで当院の特徴でもあるスポーツによるけがのリハビリについてご説明します。

 

何故、ケガをするのでしょう?

 スポーツで起こるケガには脱臼や骨折など、

1度で大きな力が加わる事で起こるものと小さな力が繰り返し加わる事で起こるものがあります。

前者は一般的にスポーツ外傷、後者はスポーツ障害と呼ばれます。

スポーツ外傷とはラグビーやアメフトでのタックル、格闘技での蹴りや投げ、

球技系スポーツでの急激なストップ・方向転換などであり、

これらの力が加わる事で打撲・骨折・靱帯損傷・脱臼などが起こります。

 

 では、スポーツ障害とはどんなものでしょう?

それは、スポーツをする人なら当たり前のように繰り返す動作によって加わる力です。

 ・野球選手が何十回・何百回と繰り返すボールを投げると言う動作。

 ・バレーやバスケットボールの選手が何百回・何千回と繰り返すジャンプと着地動作。

 ・サッカー選手が何百回・何千回と繰り返すキック動作。

 ・ランナーならランニング動作、つまり何百回・何千回・何万回と繰り返す、

  地面を蹴って身体を前に運ぶと言う動作。

これらを繰り返す事でケガが起こるのです。

これだけを聞くとスポーツ動作自体がケガの原因? と言う事になります。

では、スポーツをしている人がみんなケガをしていますか? と言う事になります。

答えはNO です。

ケガをするには繰り返し行う動作の中にちょっとした問題がある場合が多いのです。

 

ケガの多い選手・ケガの少ない選手

 同じチームで同じ練習をしていても、痛みの出る選手・痛みの出ない選手がいます。

どこのチームにも必ずと言っていいほど故障の多い選手がいると思います。

ケガの多い選手・ケガの少ない選手 この違いは何でしょう?

筋肉・腱・骨・靱帯など組織の強さの差は1つの要因として考えられます。

少々の力を加えても平気な関節や・筋腱を持つ選手もいるでしょう。

 しかし、私達はもっと大きな要因があると考えます。

それは、やはり繰り返し行う動作の中に潜むちょっとした問題です。

このちょっとした問題は、クセや個性と呼ばれるものであったり、

ほとんどの人が気付かない程度の小さなものであったりします。

しかし、このちょっとした問題が関節・骨・筋肉・腱などに小さなストレスを加え続けます。

そして、ストレスの蓄積がある日ある時、痛みとなって現れます。

 

クセ? 個性?

 では、小さなストレスの原因となるちょっとした問題とは具体的にどんなものがあるのでしょうか?

わかりやすいものでは、誰が見ても1目でわかるフォームの違いと言うものがあります。

野球のピッチャーならオーバースローの選手もいれば、サイドスローの選手もいます。

これらは、誰が見てもわかるフォームの違いですね。

バッティングでも同じ日本人メジャーリーガーである、

イチロー選手と松井秀喜選手のバッティングフォームは明らかに違います。

サッカーでは中村俊輔選手のフリーキックの時のフォームは他の選手にはない特徴的なものです。

マラソン中継を注意して見てもらえば、

トップ集団の中の選手でもそれぞれフォームが違う事に気づくと思います。

これらは、誰が見てもわかる様なフォームの違いであり、自然と身に付いたものもあれば、

良いパフォーマンスを出すために改良を重ねて出来あがったフォームもあります。

フォームの違いによって当然良く使う筋肉・負担のかかる筋肉・関節も違ってきます。

その為、その選手のフォームがケガの原因となる事も考えられます。

野球選手が、オフの期間やシーズン前のキャンプで、

“昨シーズンは怪我が多かったので今年はフォームの改造に取り組んでいます”

と言うような話を聞いた事ありますよね。

 

 又、一般の人が見ても気がつかない様なクセや個性と言うものもあります。

ほんの少しの重心の位置の違いやタイミングの違いなどです。

これらはちょっと見ただけではわかりづらいものです。

しかし、身体には確実に影響を与えます。

例えば、靴の底が外側ばかりすり減る人もいれば、内側ばかりすり減る人もいるでしょう。

の裏を見てみればタコのある位置や皮膚が硬くなっている位置も人それぞれ違います。

履き古した運動靴の中敷きを外して見てみると踵の部分が凹んでいる人、

親指の先の部分が凹んでいる人、親指の付け根の部分が凹んでいる人とこれも人それぞれです。

長年はき込んだジーパンの色落ちやシワの入り方も人それぞれで違ったり、

左右で違ったりしますよね。

 

チリも積もれば山となる

 靴底や中敷き・足の裏のタコ・ジーパンのシワ等は小さなクセや個性が、

繰り返し行われる事ではっきりした形となって現れたものです。

目に見えない様な動きの中のクセや個性によって身体の一部に加わる力は小さなものです。

でも、この小さな力は積み重なる事でケガや痛みの原因となるには十分なものになります。

長時間歩くとふくらはぎが疲れる人もいれば、向うずねの前側が疲れる人もいるでしょう。

脚よりも先に腰が辛くなる人もいます。腰よりもう少し上の背中が辛くなる人もいます。

ただ、歩くと言う運動だけでも、人それぞれ負担のかかる場所は違ってきます。

歩かずに、立っているだけでもこの様な違いは出ます。(止まっている姿勢にもクセや個性はあります。)

 

 この様にちょっとしたクセや個性は身体の負担のかかる場所の違いとなり、

積み重なる事でその部位の痛みやケガの原因となります。

このちょっとしたクセや個性を形づくっているものは、

関節の硬さや柔らかさ(言いかえれば不安定さ)、微妙な骨の配列の違い(O脚やX脚など)、

筋力の強さや弱さ、それまでの運動経験、育ってきた生活環境……と様々です。

 

当院のリハビリテーションの取り組み

 当院のリハビリ室では、このような患者さんに対して、

痛みやケガの原因となっている好ましくないクセや個性を見つけ出し、

そのクセや個性の原因を取り除いたり、

改善したりすることをコンセプトに治療やトレーニングの指導などを行っています。

動きや姿勢の中から問題点を見つけていくので、

患部だけを診るのではなく、全身を診ていくことになります。

そして、痛みやケガの原因となる場所に対してアプローチしていきますので、

痛い場所とは遠く離れた場所の治療やトレーニングをする場合もあります。

必要なら、腰や肩が痛いのに足の裏にテーピングをすることもあります。

もちろん、これと並行して痛みがあり炎症の起こっている患部に対しても治療を行っていきます。

また、このように動きや姿勢の中から痛みやケガの原因を見つけ出し、

改善していくという治療の流れの中で、痛みや症状が治まるだけでなく、

競技のパフォーマンスが向上すると言う事も度々経験します。

身体の局所に負担をかけない姿勢や動きというのは、美しく滑らかな効率の良い動きとなり、

この様な動きを獲得する事はパフォーマンスにも影響すると考えています。

 

 例えばこの様な診断を受けられた事はありませんか?

オスグッド・シュラッター病

ジャンパー膝

膝蓋靭帯炎

これらの病気は痛みの出る場所に微妙な違いはありますが、

どれも膝の前面(お皿の周辺)の痛みを主な症状とします。

どれもジャンプや急激なストップ動作を繰り返すようなスポーツを行う選手によく見られます。

発生メカニズムには共通する部分があり、

どれも大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前の筋肉を使いすぎる事が原因となります。

この筋肉を使いすぎる事で筋肉の先の腱の部分や、

腱が骨に付いている部分に炎症が起こり、痛みが出ます。

この痛みもフォームや動き・姿勢のクセと関連させて考える事が出来ます。

少し難しい話ですが、身体の膝よりも上の部分(太ももと上半身ですね)の重心が、

膝の関節よりも後にあると、膝の前の筋肉はこの重みを支える為に働かなければいけません。

そこでまず大腿四頭筋を使いすぎる選手の姿勢やフォームとはどのようなものか……

ということから考えてリハビリのプログラムを決めて治療をすすめていきます。

単にマッサージをしてテーピングやサポーターで固定するという考えではないのです。