膝前十字靭帯断裂手術

 

 前十字靭帯断裂は膝のスポーツ外傷の中ではメジャーなけがです。

膝に直接タックルされるなどして起こるコンタクト型の損傷と、

ジャンプの着地や方向転換などの動作の際に起こるノンコンタクト型の損傷があり、

後者は自分の身体をコントロールしきれなかった事が原因で起こったケガとも言えます。

前十字靭帯断裂の症状はけがの直後は痛いのですが2週間ほどで痛みはなくなり、

一見治ったかのような状態になることが多いのです。

ほんとうの症状は痛みがなくなりスポーツを再開してから起こります。

その症状は膝折れ現象と言われ、ふんばったときにガクッと膝がぬけて激痛がはしります。

膝折れ現象を繰り返すたびに膝関節内の半月板や軟骨を損傷して、だんだん痛みがとれなくなります。

はじめから痛みがずっと続くケースは半月板も同時に断裂している可能性が高いです。

前十字靭帯断裂を起こした場合、半月板や軟骨損傷が起こる前に手術を行うべきと考えています。

 

 さて、手術は自分の腱(半腱様筋腱や膝蓋腱の一部)を移植する、

靭帯形成術を関節鏡という内視鏡を見ながら行うのが現在では標準的な術式です。

整形外科の関節鏡視下手術は実は歴史が古く、私は1988年から関節鏡視下に靭帯形成術を行っています。

手術は膝関節を専門とする整形外科医が行えばけっして難しい手術ではありませんが、

大切なことは正確な手術を行った上に、きっちりとしたリハビリを行うことだと考えます。

この手術はどんな場合でも手術をしてもらった施設でリハビリをうけていただくことをおすすめします。

前十字靭帯再建術後のリハビリテーションの大まかな流れを説明します。

 

手術前

 手術前日に受傷した時の状況を問診し、筋力やその他身体や動きの特性をチェックします。

これによって、術後のリハビリテーションを進める上でのその方それぞれの注意点や課題が決められます。

又、スポーツ選手の場合は大会等の今後の予定を聞き、目標とする試合を決定します。

手術後早期(1か月まで)

 この時期の最重要課題は再建した靱帯を保護しながら関節可動域を拡げ、筋力を維持・改善する事です。

又、術前チェックでみられた身体上の問題点を改善する事にも少しずつ取り組んでいきます。

手術後2~4カ月

 松葉杖無しでの正常な歩行が獲得され、再建靭帯に負担のかからない方法で筋力の強化を行っていきます。

また、受傷の原因となった身体・動作上の問題点を出来る限り改善して、術後5か月目以降のプログラムに備えます。

手術後5カ月目以降

 ランニングやジャンプ・カッティング等のスポーツに近い動作を積極的に行っていきます。

また、各種競技の特性を考慮して様々なトレーニングを行っていきます。

手術後7カ月以降

練習への部分参加~全体参加。試合への参加。

部分的にスポーツに参加し、「こうした時に、ここが痛い。」「こっち向きのターンが怖い」等の、

具体的な問題点を見つけ改善します。

競技に復帰するにあたって再受傷のリスクが無いかチェックし、完全復帰となります。

長い期間リハビリテーションを行ってきたことで、動作上の弱点が改善され、

受傷前には出来なかったような身体の使い方が身についている状態が理想です。

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